地方都市における移動貧困への自動運転シェア電動車両の活用可能性


現在,地方都市における,将来的な移動手段の確保が大きな課題となっています。少子高齢者は移動困難者をますます増加させると考えられます。こうした人々が外出や社会参加に大きな制約を受けることは,人々の社会参加の機会を奪うほか,地域活性化や持続可能な都市形成を阻害する可能性があります。

この解決策の一つとして,近年,急速に研究開発が進む自動運転技術を応用した自動運転シェア電動車両(Shared Autonomous Electric Vehicle: SAEV)を活用した送迎サービス(無人電動タクシー事業)に着目しています。このサービスは,利用者の呼び出しに応じてSAEVが無人で迎えに来て,目的地まで送ってもらうことができるものです。

本研究では,移動困難者の日常的な移動手段として無人電動タクシーの活用可能性について分析を行っています。これまで運用シミュレーションを構築し,移動需要への対応,利用者にとっての経済性や利便性といった様々な資源から定量的な評価を行ってきました。分析の例として,利用者の経済的負担や利便性の定量的な評価を図った結果を図1に示します。この結果からは,無人電動タクシーの活用可能性が高いことが示唆されます。引き続き,より詳細なシミュレーションを通じた分析を進めていく予定です。

図1 無人電動タクシーの利便性・経済的負担の定量的評価